在宅血液透析(Home Hemodialysis;HHD)について

在宅血液透析とは?

在宅血液透析とは患者様自身が自宅で自由な時間に行う血液透析のことです。十分な透析時間や透析回数を確保することが出来るようになるため、在宅血液透析には良好な生命予後、良好なQOL(生活の質)、体調の改善、少ない食事制限、薬が減量出来る、など多くのメリットがあり、その成績は腎移植にも劣らない、最高の腎代替療法であると言えます。また40年以上の歴史がありますが、その中で重大な事故は起こっておらず、安全性も確立された治療と言えます。
しかし、日本で在宅血液透析を行なっている人は2011年末調査ではわずかに147人と非常に少なく、普及しない最大の理由は「認知度が低いから」です。生命予後の良さ、QOL(Quality of life=生活の質)の高さから、最近在宅血液透析の良さが再認識され、再び注目を浴びるようになってきました。ここ数年で患者数も伸びてきています。

当院では慢性腎不全治療の選択肢として、1988年に栃木県で初めて患者様に在宅血液透析を導入し、現在も在宅血液透析に取り組んでいます。

在宅血液透析の長所

  • 1.生命予後が良い
  • 2.良好なQOLが保てる
  • 3.体調が良くなる(全身にエネルギーがみなぎる、かゆみやイライラがなくなり頭がすっきりする、免疫力が上がる、体力の増強)
  • 4.食事制限がほとんどなくなる
  • 5.薬が減らせる(降圧薬や造血剤はほとんど要らなくなる)
  • 6.通院は月1回で良い
  • 7.時間設定を都合に合わせて自由にできる(仕事が制限されない)
  • 8.自己管理意識が高まり、病人であるという意識がなくなる
  • 9.周囲に気を遣わず自宅で家族と団欒しながら透析ができる

在宅血液透析導入の条件

在宅血液透析を実施するにあたっては、いくつかの条件があります。主なものとして「自分でシャント穿刺ができる」「介助者がいる」「自己責任で管理ができる」そして何より大事なのは「患者様自身が強く希望している」ということです。能力的には「車の運転免許がとれる能力があれば十分」と言われています。

在宅血液透析導入までの流れ

しばらくは通常の通院透析をして頂き、透析中の経過を観察して、在宅血液透析が可能かを医師が判断します。患者さん・家族(介助者)と医療スタッフとの面談により在宅血液透析の導入が決定したら、通院透析をしながら、3ヶ月〜6ヶ月の教育訓練を受けていただきます。教育訓練は実際の透析治療とともに個々の患者さんの進行度に合わせて、介助者と共に行います。
透析に必要な機械器具は、病院からリースします。導入の際には自宅の水回りや電気の工事が必要になります。

在宅血液透析は、患者さんが自宅で時間にとらわれず、好きな時間に好きなだけ透析をすることができるので、ストレスなく家族と団欒しながら長時間の透析時間を確保できるために、長期透析の合併症を来しにくく、降圧剤や造血剤もほとんど使用しないで済むようになります。
また、食事制限もほとんど必要なくなり、長年にわたって良好なQOLが保て、元気に仕事をしたり、スポーツを楽しむことも出来るようになります。
自分自身で透析を行うことには不安を覚える方も多いと思います。しかし、在宅血液透析の40年以上の歴史の中で、重篤な事故は一度も起こっておらず、運転免許が取れるだけの能力と、患者さんの希望さえあれば、安全性の確立された治療法です。ご興味のある方はいつでも当院にお問い合わせ下さい。