当院では院内のコミュニケーションを促進する手段の一つとして、毎日のカンファランスの前に「グッド&ニュー」というアクティビティを行っています。
今回、「クリニックばんぶう」の中の『知ればやってみたくなる 院内外を活性化するミーティングの極意』という特集の中で、当院の取り組みが紹介されました。
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ばんぶう 2014年10月号
特集
パート3 事例
ケース1 「グッド&ニュー」の導入
誰でも発言できる雰囲気をつくり
意見飛び交うカンファレンスを実現
医療法人開生会 奥田クリニック
<本文>
奥田クリニックでは、毎日午後4時からその日出勤している全職員が参加するカンファレンスを通じて、専門職間での情報交換を行っている。以前は看護職による業務の引き継ぎのみを行っていたが、奥田康輔院長が先代院長の父親から同院を承継した7年前から全職員参加に切り替えた。この理由を次のように振り返る。
「透析医療に取り組む当院では、医師や看護師のほか、臨床工学技士、臨床検査技師、管理栄養士、看護助手、事務員などさまざまな職種の人が働いています。各専門職がそれぞれの視点から一人の患者さんのニーズを見極め、身体面はもちろん、精神面や社会生活面でも十分な対応をするためにも職種間で情報共有をしたり、意見を述べ合う場が不可欠。そのため、職員が一堂に会する時間をつくることにしました」
しかし、当初は発言する人はほとんどおらず、一方的な連絡伝達にとどまっていた。職員の意見や考えを聞き、全員で相談しながら運営をしていきたいと考えていた奥田院長は、カンファレンスの改革に乗り出した。
そのとっかかりとなったのが、5年ほど前から始めたカンファレンス前に行う「グッド&ニュー」だ。グッド&ニューとは、5~6人のグループで輪になって行うアイスブレイクの1つ。クッシュボールというウニのような形をしたカラフルなゴム製ボールを持った人が24時間以内に起こった「よかったこと」をグループのメンバーに話す。終わったら全員で拍手し、話した人は隣の人にボールを渡す。これを全員が繰り返すというもの。ポジティブ思考を確立したり、チームを盛り上げる効果があると言われる。
奥田院長は「積極的な意見交換ができる職場にするには、話しやすい雰囲気づくりが必要だと感じていました。忙しい医療現場ではともすると1日仕事の話しかしないということも少なくありません。そのため職員は仕事以外の話をすることに慣れていません。誰でも気軽に話をできるようになるための工夫として、グッド&ニューを始めることにしました」と説明する。
開始当初こそ戸惑いを見せる職員もいたが、続けるうちに徐々に慣れていったという。今では、カンファレンスの場で気づいたことや疑問点、問題提起や報告を積極的に行う職員が増えるなどの効果が見られている。
このほか、職員のモチベーションにも大きな変化があった。
「人は、自分の話を聞いてもらえることで『承認された』と感じます。職員それぞれが自分の話を聞いてもらい、承認し合うことで、仕事に対する向きあい方も以前と変わってきたように感じます。今後は、カンファレンスや面談のなかで把握した、職員それぞれの得意分野を活かし、能力を発揮してもらえるようなに、さまざまな役割を与える仕組みづくりを行いたいと思っています」と、奥田院長は意欲を見せる。
毎日午後4時から行われるカンファレンス。出勤している全職員が参加する
カンファレンス前のグッド&ニューの様子。ボールを持った人がその日経験した「よかったこと」を話し、次の人にボールをパスする。話を聞く側は、全員拍手をするのがルールだ